【医業経営ニュース】Vol.89「オンライン資格確認等システムの活用:救急時医療情報閲覧」
令和6年12月より、救急時医療情報閲覧機能の運用が開始されました。
これにより、患者の生命、身体の保護のために必要な場合、マイナ保険証による本人確認を行うことによって患者の同意取得が困難な場合でもレセプト情報に基づく医療情報等が閲覧可能となります。
【参考資料:令和6年9月 厚生労働省医政局 救急時医療情報閲覧概要案内】
令和6年度診療報酬改定において、以下の加算及び入院料については、救急時医療情報閲覧機能を有していることが施設基準となっています。当該施設基準は、令和7年4月1日以降適用となるので、届出医療機関はご留意ください。
救急時医療情報閲覧機能を有していることが施設基準の要件となっている加算及び入院料 |
・総合入院体制加算1~3 ・急性期充実体制加算1・2 ・救命救急入院料1~4 |
- 救急時医療情報閲覧機能で閲覧可能な情報
現行のオンライン資格確認等システムで通常表示可能な診療/薬剤情報に加え、患者の基本情報・医療情報等が集約された救急用サマリーの閲覧が可能です。
【救急用サマリーの項目・期間】
項目 | 期間 | 参考:通常表示における期間 |
受診歴 | 3か月 | 5年 |
電子処方箋情報(※1) | 45日 | 100日 |
薬剤情報(※2) | 3か月 | 5年 |
手術情報 | 5年 | 5年 |
診療情報(※2) | 3か月 | 5年 |
透析情報 | 3か月 | 5年 |
健診情報(※2) | 健診実施日を表示 | 5年 |
※1: 既に電子処方箋管理サービスを導入済みの医療機関等で登録された情報が閲覧可能。(救急用サマリーでは電子処方箋管理サービスに登録された情報のうち調剤情報のみ閲覧可能)
※2: 薬剤情報については令和3年9月診療分のレセプト(医科・歯科・DPC)から抽出した情報、診療情報については令和4年6月以降に提出されたレセプト(医科・歯科・調剤・DPC)から抽出した情報、特定健診情報については令和2年度以降に実施し順次登録された情報が閲覧可能。
【参考資料:令和6年9月 厚生労働省医政局 救急時医療情報閲覧概要案内】
- 医療機関のメリット
- 必要な情報を迅速に確認できるため、診療がスムーズになる
これまでは、救急隊員が患者家族等から患者の過去の病歴や服用薬等を聞き、医師へこれらの情報を伝えていましたが、救急時医療情報閲覧機能を活用することで取得した情報を医師が確認し、迅速に治療を開始することが可能となります。さらに、電子カルテへの入力作業が効率化され、業務負荷軽減および医療の質向上につながると期待されています。 - 直近の受診歴も確認可能なことから正確な情報伝達が可能になる
患者本人と意思疎通が難しい場合や患者家族がかかりつけ医、病歴及び服薬情報等を把握していない場合においても正確な情報取得が可能となり、必要に応じてかかりつけ医と迅速に連携を図ることが可能となります。
- 患者のメリット
- 家族がいない場合や対応できない場合でも正確な情報共有が可能
救急時に患者家族等が同席していない又は連絡が取れない場合でも、登録されている情報を閲覧することで適切な対応が可能となります。 - アレルギーや薬剤副作用のリスクが減少
アレルギー情報や現在服用している薬剤情報が取得できこれらの情報に基づいて、医師に治療をしてもらえることでリスク回避をすることが可能となります。
- まとめ
救急時医療情報閲覧機能は、オンライン資格確認等システムに登録されている情報を活用し、救急時に患者を守る重要な役割を果たします。このようなシステムを活用することで、迅速かつ安全で質の高い医療の提供が期待されています。