【医業経営ニュース】Vol.88「施設基準経過措置(2024年12月末)及び 医療DX推進体制整備加算に関する最新情報」
2024年12月31日までの経過措置となっている施設基準について、2025年1月以降も算定を継続する場合には、所定の届出が必要となります。届出の期限が通常と異なりますので、ご注意ください。また、医療DX推進体制整備加算では、2025年1月1日より、マイナ保険証の利用実績の基準が引き上げられます。本稿ではそれぞれの詳細について解説します。
■ 2024年12月末で終了する施設基準経過措置と届出期限
以下2つの基本診療料の施設基準において、経過措置が2024年12月31日で終了します。
2025年1月1日以降も算定を継続する場合には、届出が必要となります。届出の期限は2025年1月10日となります。通常の期限と異なるため、届出漏れのないよう十分ご注意ください。
必要な各様式については、届出対象表記内のリンクをご参照ください。
区分 | 届出対象 | 措置要件(概要) |
初・再診料 | 外来感染対策向上加算 【別添7(外来感染対策向上加算)、様式1の4※】 |
令和6年3月31日において左記届出を行っている保険医療機関については、1の(13)[第二種協定指定医療機関]に該当するものとみなす。 |
入院基本料等加算 | 感染対策向上加算1~3 【別添7(加算1)、(加算2)、(加算3)、様式35の2※】 |
令和6年3月31日において左記届出を行っている保険医療機関については、それぞれ1(15)、2(14)[いずれも第一種協定指定医療機関]又は3の (10)[第一種又は第二種協定指定医療機関]に該当するものとみなす。 |
※[記載上の注意]にある添付書類は不要です。
【出典:関東信越厚生局 基本診療料の届出一覧(令和6年度診療報酬改定)】
■ マイナ保険証利用率基準の変更
医療DX推進体制整備加算では、2024年10月よりマイナ保険証利用率に応じた3段階の加算体系が導入されています。2025年1月からは、利用率基準が次の表のとおり引き上げられます。なお、点数の変更はありませんが、既に届出済であっても、実績が基準に満たなくなった場合には、加算算定できませんのでご留意ください。
マイナ保険証利用率 | ||||
適応時期 | 点数 | 2024年10月~12月 | 2025年1月~3月 | 2025年4月~ |
加算1 | 11点 | 15% | 30% | 附帯意見を踏まえ、2024年度末に検討・設定予定 |
加算2 | 10点 | 10% | 20% | |
加算3 | 8点 | 5% | 10% |
2025年4月以降のマイナ保険証利用率基準が決定次第、こちらの医業経営ニュースでもお知らせいたします。
■ オンライン資格確認件数ベースの経過措置(2025年1月迄)
2025年1月適用分までは、マイナ保険証の利用率実績について、「レセプト件数ベース利用率」と「オンライン資格確認ベース利用率」のいずれか高い方を適用できます。ただし、2025年2月適用分からは、「オンライン資格確認ベース利用率」の経過措置が終了し、「レセプト件数ベース」実績のみが基準となります。
参照可能なマイナ保険証利用率の実績 | 10月適用分 | 11月適用分 | 12月適用分 | 1月適用分 | 2月適用分 | 3月適用分 |
レセプト件数ベース | 5~7月の最高値 | 6~8月の最高値 | 7~9月の最高値 | 8~10月の最高値 | 9~11月の最高値 | 10~12月の最高値 |
オンライン資格確認件数ベース | 6~8月の最高値 | 7~9月の最高値 | 8~10月の最高値 | 9~11月の最高値 | (経過措置終了) | (経過措置終了) |
2024年12月2日付で現行の健康保険証の新規発行が停止されました。お手持ちの健康保険証については、有効期限内であれば、最長1年間は使用可能となっています。ただし、後期高齢者医療保険加入者の場合、有効期限は2025年7月31日までとなっています。
厚生労働省が公表したデータによると、2024年9月時点のマイナ保険証利用率は全体で13.87%にとどまっています。現行の健康保険証の新規発行停止を受け、今後はマイナ保険証を利用する受診が進むと予想されます。
また、厚生労働省の分析では、マイナ保険証の利用率が高い医療機関では、記号・番号の入力誤りや資格該当者なし等によるレセプト返戻(資格返戻)の発生件数が減少していることが報告されています。これによりマイナ保険証の普及がレセプト返戻減少に寄与する可能性があると考えられます。
【参考:厚生労働省 2024年11月15日「12月2日以降の医療機関・薬局の窓口における資格確認方法等について」P1、35 】