【医業経営ニュース】Vol.77「ウェブサイトへの掲載が必要な施設基準 ~基本診療料編~ 」
2024年度の診療報酬改定により、書面掲示事項を原則としてウェブサイトにも掲載することが義務付けられました。これは、社会全体のデジタル化を推進する「デジタル原則を踏まえたアナログ規制(通知・通達等)の見直し方針」の中で、保険医療医機関等の院内掲示に係る告示・通知の規定等が該当しているためです。
本号では、基本診療料においてウェブサイトへの掲載が必要な施設基準をまとめました。(特掲診療料においてウェブサイトへの掲載が必要な施設基準は別号にてご案内予定です。)
■ウェブサイトへの掲載が必要な施設基準
施設基準 | 必要な掲載事項 |
医科初診料、医科再診料及び外来診療料の情報通信機器を用いた診療 | ・情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬の処方は行わないこと |
医科初診料の機能強化加算 | ・地域において包括的な診療を担う医療機関であること |
明細書発行体制等加算 | ・算定した診療報酬の区分・項目の名称及びその点数又は金額を記載した詳細な明細書を患者に無料で交付している旨 |
病院の入院基本料 通則 | ・現に看護を行っている病棟ごとの看護職員の数と当該病棟の入院患者の数との割合 |
診療所の入院基本料 通則 | ・現に看護に従事している看護職員の数 |
医療情報取得加算 | ・オンライン資格確認を行う体制を有していること ・当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴/薬剤情報/特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと |
医療DX推進体制整備加算 | ・医師等が診療を実施する診察室等において、オンライン資格確認等システムにより取得した診療情報等を活用して診療を実施している保険医療機関であること ・マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できる様取り組んでいる保険医療機関であること ・電子処方箋の発行及び電子カルテ情報共有サービスなどの医療DXに係る取組を実施している保険医療機関であること |
地域包括診療加算 | ・健康相談及び予防接種に係る相談を実施していること ・当該保険医療機関の通院患者について介護支援専門員及び相談支援専門員からの相談に適切に対応することが可能であること ・患者の状態に応じ28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて当該対応が可能であること |
歯科点数表の初診料の注1 | ・院内感染防止対策を実施している旨 |
地域歯科診療支援病院歯科初診料 | ・院内感染防止対策を実施している旨 |
歯科外来診療医療安全対策加算1及び2 | ・緊急時における連携保険医療機関との連携方法やその対応等、歯科診療に係る医療安全管理対策を実施している旨 |
後発医薬品使用体制加算 | ・入院及び外来において後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用に積極的に取り組んでいる旨 ・医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更等に関して適切な対応ができる体制に関する事項並びに医薬品の供給状況によって投与する薬剤が変更となる可能性があること及び変更する場合には患者に十分に説明すること |
バイオ後続品使用体制加算 | ・入院及び外来においてバイオ後続品の使用に積極的に取り組んでいる旨 |
薬剤業務向上加算 | 以下①~⑦の内容を含む研修プログラム ①内服・外用・注射剤の調剤(医薬品(麻薬・毒薬・向精神薬)の管理、処方鑑査を含む) ②外来患者の薬学的管理(外来化学療法を実施するための治療室における薬学的管理等) ③入院患者の薬学的管理(薬剤管理指導、病棟薬剤業務、入院時の薬局との連携を含む。) ④無菌製剤処理(レジメン鑑査を含む) ⑤医薬品情報管理 ⑥薬剤の血中濃度測定の結果に基づく投与量の管理 ⑦手術室及び集中治療室等における薬学的管理 |
協力対象施設入所者入院加算 | ・介護保険施設等に協力医療機関として定められており、当該介護保険施設等において療養を行っている患者の病状の急変等に対応すること及び当該介護保険施設等の名称 |
まずは自院の届出施設基準を踏まえ、ウェブサイトへ掲載が必要な事項の洗い出しが必要となります。当該要件は、2025年5月31日までの経過措置がありますが、ウェブサイトの改修に時間を要することも想定されるため、ホームページを有する医療機関様においては早期に着手されることを推奨いたします。
最近では受診する医療機関をウェブサイトで検索される方が増えてきています。施設基準での要件化という視点だけではなく、患者さんが医療機関を選ぶための参考になるよう、掲載する情報の見直しを行うことも増患対策の1つとして検討されてもよいかもしれません。