【医業経営ニュース】 Vol.65「2024年度診療報酬改定 検討状況レポート 07 ─ 外来(その3) ─」
2024年度診療報酬改定に向け、11月10日開催の第563回中医協総会において、〖外来機能の分化推進〗〖医療DX〗〖かかりつけ医機能〗についての評価等が議論されました。
■外来機能の分化の推進について
前回(2022年度)の診療報酬改定において、外来機能の明確化及び医療機関間の連携を推進する観点から、[紹介状なしで受診した患者等から徴収する定額負担額の引き上げ(初診:医科・歯科とも2,000円増、再診:医科500円、歯科400円増)][対象病院の範囲(紹介受診重点医療機関の追加)や保険給付範囲の見直し]が行われ、その結果、初診時に紹介状なしで受診した患者の割合は全体及び義務化対象施設で4.3%減少したことが確認されています。
また、今夏には[紹介受診重点医療機関]が公表されており、これらを踏まえ、外来機能の更なる分化と推進がどのように行われるか、今後の議論を注視する必要があります。
※上記引用元…中医協総会(第563回)外来(その3)資料(スライド№24)
■医療DXについて
医療DXの推進に関しては、すでに[マイナンバーカードと健康保険証の一体化]が推進されています。加えて、[全国医療情報プラットホームの構築]や[電子カルテ情報の標準化]において、情報共有にあたっての標準規格である[3文書(『診療情報提供書』『退院サマリー』『健診結果報告書』]、およびそれに含まれる[6情報(傷病名/アレルギー情報/感染症情報/薬剤禁忌情報/検査情報(救急、生活習慣病)/処方情報))]の普及を促進し、医療の質向上のために活用することが挙げられています。
また、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和5年6月9日閣議決定)において、医療分野におけるデジタル化の推進が示されています。次回の診療報酬改定では、診療報酬上、書面での情報提供等が必要とされる項目において、電磁的方法の活用が進むための要件設定が行われる可能性が考えられます。
■かかりつけ医機能について
かかりつけ医機能が発揮される制度整備として、[医療機能情報提供制度の刷新(2024年4月施行)][かかりつけ医機能報告の創設(2025年4月施行)][患者に対する説明(2025年4月施行)]があります。このうち、[患者に対する説明]については、特に必要であって患者が希望する場合に、かかりつけ医機能として提供する医療の内容について電磁的方法又は書面により説明するよう努力義務が定められます。
[かかりつけ医機能の報告]の報告項目のイメージとして、〈日常的な診療の総合的〉〈継続的実施や夜間〉〈休日の対応〉〈入退院支援〉〈在宅医療の提供〉〈介護サービス等との連携〉その他厚生労働省令で定める機能が挙げられており、都道府県知事はその内容を踏まえ、かかりつけ医機能の確保に係る体制を有することを確認し、外来医療に関する地域の関係者との協議の場に報告するとともに公表する流れとなっています。
また今後、介護サービス等とかかりつけ医の連携がますます重要となっていく中、介護支援専門員から見た情報共有における問題点の一つとして、「医療機関側に時間をとってもらうことが困難である」という調査結果が出ています。地域包括診療料・加算を届出している医療機関においてもサービス担当者会議への医師の参加割合は5割強にとどまっており、主治医と介護支援専門員双方向のコミュニケーションの促進が論点とされています。
※上記引用元…中医協総会(第563回)外来(その3)資料(スライド№48)
かかりつけ医機能については上記のほか、[特定疾患療養管理料]についても言及されています。生活習慣病においては、計画的な療養指導が求められるため、生活習慣病管理料には詳細な『療養計画書』の作成と『療養計画書』を用いた患者への説明が求められています。しかし[特定疾患療養管理料]は、生活習慣病の患者も対象とされているものの、『療養計画書』の作成は要件化とされていません。[特定疾患療養管理料]の算定がある施設の状況をみると、それ以外の施設と比べ、現状かかりつけ医機能が高くはありません。生活習慣病の増加等に対する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進に向けた、生活習慣病に係る診療報酬上の療養指導の評価の在り方をどう考えるかが論点になっています。