【医業経営ニュース】 Vol.62「新型コロナウイルス感染症の今年10月から来年3月までの見直し」
新型コロナウイルス感染症は今年5年5月8日以降、感染法上の位置づけが5類感染症に変更され、さらにこの10月以降の基本的な考え方や外来・入院医療体制、入院調整、各種公費支援等の見直しが示されました。診療報酬改定が行われ新たな体系が示される来年3月までの見直しのポイントについて今回は取り上げます。
■診療報酬の取扱い
診療報酬上の特例は、現場の感染実態等も踏まえつつ、点数の見直しが行われます。
区 分 |
点数見直しの背景、評価上のポイント | 2023(R05)年10月から2024(R06)年3月までの点数、条件等 | ||
入 院 |
・入院患者の重症化率低下、看護補助者の参画等による業務・人員配置の効率化等 ・介護業務の増大等を踏まえ、急性期病棟以外での要介護者の受入 |
①重症患者 … ICU等の入院料:1.2倍 | +845~3,263点/日 | 介護保険施設等からの患者等をリハビリ提供や入院退院支援体制が充実した病棟(例:地域包括ケア病棟等)が受け入れる場合は加算(+420点/日) |
②中等症患者等(急性期病棟等)…救急医療管理加算 2 : 2~3倍 | 840点~1,260点/日 | |||
コロナ回復患者を受け入れた場合…500点/日 | 14日まで | |||
必要な感染対策を引き続き評価 | 125~500点/日 | 感染対策を講じた診療 | ||
300点/日 | 2類感染症の個室加算の適用 | |||
50点/日 | 必要な感染予防策を講じた上でリハビリを実施 | |||
外 来 |
・空間分離・時間分離に必要な人員、PPE等の感染対策 ・その上で受入患者を限定しないこと |
①147点 |
①…対応医療機関であって、院内感染対策を実施し、受入患者を限定しない | |
②…①に該当せず、院内感染対策を実施 | ||||
・届出の簡略化などの状況変化・位置づけ変更に伴い医療機関が実施する入院調整等 | (2023年9月まで…初診時含めコロナ患者への療養指導)→終了 | |||
100点/回 | コロナ患者の入院調整を行った場合 | |||
在 宅 |
・重症化率の変化に伴う緊急往診の必要性の低下(介護保険施設等での療養を支援する観点から同施設等に対する緊急往診は引き続き評価) | 300点 | 緊急の往診 (介護保険施設等への緊急往診の場合950点) |
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300点 | 介護保険施設等において、看護職員とともに施設入居者に対してオンライン診療を実施する場合 | |||
往診時等の感染対策 | 50点/日 | コロナ疑い/確定患者への往診 |
※上表内容参照元… 令和5年9月15日 厚生労働省公表資料『新型コロナウイルス感染症に関する1 0 月以降の見直し等について』スライド6-7
■患者等に対する公費支援
治療薬や入院医療費に関して、患者の急激な負担増が生じないように配慮しつつ、他の疾病との公平性の観点も踏まえ、自己負担なしの扱いから一定の自己負担を求めつつ公費支援を継続する見直しが示されています。
区分 | 2023年9月までの扱い | 見直しの観点 | 2023年10月~2024年3月 |
治療薬 | 全額公費支援 (外来・入院) |
自己負担なしの扱いから、一定の自己負担を求めつつ公費支援を継続 | 自己負担割合に応じ設定 ・1割の方…3,000円 ・2割の方…6,000円 ・3割の方…9,000円 |
入院 医療費 |
高額療養費制度の自己負担限度額から2万円を減額 | 患者の入院期間はインフルエンザとほぼ同様な状態に近づいている一方で、診療報酬上の特例加算はインフルエンザとはまだ差がある状況 | 高額療養費制度の自己負担限度額から1万円の減額に見直して公費支援を継続 |
※冬の感染拡大に備える観点から、以下についても10月以降継続 ・高齢者施設等における行政検査(陽性者発生時の検査、従事者への集中的検査) ・自治体が設置する受診相談(発熱時等の受診相談、陽性判明後の体調急変時の相談)の窓口への公費支援 |
※上表内容参照元… 令和5年9月15日 厚生労働省公表資料『新型コロナウイルス感染症に関する1 0 月以降の見直し等について』スライド 8
■今後の新たな体系への移行について
ここまで述べてきた見直しのポイントは、来年春に実施される診療報酬改定においてさらに変更が行われる予定です。次の改定において、新型コロナウィルス感染症は “恒常的な感染症対応への見直し” が図られ、通常の対応へと完全移行が行われることが予定されており、今後もその動向に注目が必要となります。