【医業経営ニュース】Vol.93 「医療DX推進体制整備加算・在宅医療DX情報活用加算の見直し」
2025年1月29日開催の中医協総会において、2024年度診療報酬改定により新設された医療DX推進体制整備加算・在宅医療DX情報活用加算について、議論がなされました。本号では、その内容について解説します。
■ 医療DX推進体制整備加算の細分化(2025年4月~)
これまでマイナ保険証の利用率によって区分されていた医療DX推進体制整備加算ですが、2025年(令和7年)4月より、電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制※を有している場合と有していない場合でさらに点数が細分化されます。
具体的には、電子処方箋に対応している場合は加算1~3、対応していない場合は加算4~6となり、そこからマイナ保険証の利用率によって算定する加算の区分が決まります。
※電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制とは、原則として院外処方を行う場合に、電子処方箋又は引換番号が印字された紙の処方箋を発行できる体制を指します。
出典:厚生労働省 中医協総会(第603回)総―8-3答申について(医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し)より
医療DX推進体制整備加算の施設基準の1つである「電子処方箋を発行する体制を有していること」は、2025年(令和7年)3月31日までの経過措置が設けられています。しかし、厚生労働省による電子処方箋システム一斉点検の結果、この経過措置までにおける医療機関の電子処方箋導入実績は、約1割弱にとどまることが見込まれています。
そのため、電子処方箋の導入の有無に関する要件を具現化した上で、既に導入した医療機関において電子処方箋管理サービスに処方情報を登録する手間を評価する観点から、導入済みの医療機関と未導入の医療機関の間で加算点数に2点の差を設けることとしました。
■ マイナ保険証利用率要件の引き上げ(2025年4月~9月)
2025年4月から、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率(レセプト件数ベース)の実績要件が下表のとおり引き上げられます。適用時期は9月までとされており、10月以降の要件については7月を目途に設定される予定です。
適用時期 | 2024年10~12月 | 2025年1~3月 | 2025年4~9月 |
利用率実績 | 2024年7月~ | 2024年10月~ | 2025年1月~ |
加算1・4 | 15% | 30% | 45%(+15%) |
加算2・5 | 10% | 20% | 30%(+10%) |
加算3・6 | 5% | 10% | 15%(+5%) |
加算3・6のマイナ保険証利用率要件については、小児科外来診療料を算定している医療機関のうち、延べ外来患者数(2024年1月1日から12月31日実績)に占める6歳未満の患者の割合が3割以上の場合、12%とすることとされています(2025年4月1日から9月30日までの間)。
これは、子どもは顔認証が実施しにくいこと、マイナ保険証を保有していない場合があることに配慮したものとなっています。
■ 在宅医療DX情報活用加算の見直し(2025年4月~)
在宅医療DX情報活用加算についても、医療DX推進体制整備加算同様、電子処方箋管理サービスへの登録の手間を評価する観点から見直しを行うこととなりました。
こちらも電子処方箋を既に導入した医療機関と未導入の医療機関の間で点数に2点の差を設けられています。
出典:厚生労働省 中医協総会(第603回)総―8-3答申について(医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し)より
■ 電子処方箋管理サービス導入に関する補助金
電子処方箋管理サービスの初期導入については、2025年3月31日までに導入完了した施設まで補助金の対象としており、申請期間は9月30日までとなっています。病院、診療所、薬局ごとの補助率・上限率は以下のとおりとなります。
補助金申請に関する詳細は以下のリンクよりご確認ください。
【医療機関等向け総合ポータルサイト】電子処方箋管理サービス等関係補助金の申請について
電子処方箋の導入は、複数医療機関を受診する患者を薬による相互作用リスクから守ることや、災害時や救急搬送時に患者の直近の薬剤情報を確認することが可能となります。補助金は時間が経過すると補助率が低下することもありますので、未導入の医療機関様は今一度ぜひご検討してはいかがでしょうか。